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杉本栄一『近代経済学の解明』(上)(下)岩波新書

うかつだった。この本を読まずに経済学を勉強していた気になっていたなんて、ああ恥ずかしい。しかし注意しよう。著者が冒頭で指摘するように、この本はあくまでも「入門書」であり、「近代経済学の解明」は、この本を読了したのち、個別具体的なテクストを読むことでようやく開始されるのだ。

もうひとつ注意しなければならないのは「近代経済学」の概念。これはたんに特定の方法論や理論体系を指すのではない。資本主義という経済体制の構造的矛盾や問題点に直面するなかで紡がれてきた理論、その総体を「近代経済学」という。それゆえワルラスも、マーシャルも、ケインズも、マルクスも、みな近代経済学の理論家である。

同じように、限界効用理論も、一般均衡論も、ケインズ『一般理論』も、マルクスの『資本論』も、特定の時代的・社会的文脈のなかで、すなわちその時代・社会における実践的・具体的な問題のもとで、必要とされた理論である。たんなる「分析の道具」ではないのだ。
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